1、輪状滑車(A1~A5)の部分断裂、完全断裂
輪状滑車とは、腱、腱鞘を押さえているバンドの役割をしている組織
ネッター解剖学アトラス第4版より引用
2、前腕屈筋群の肉離れ
3、腱の損傷、断裂:断裂した場合、指を自分で動かす事ができない
当院では上記3点を大きく『パキる』として考えています。
『パキる』といっても損傷する箇所が違いますので、施術の内容や治癒期間が違います。
中でも一番多く、クライマーの中で『パキる』といわれてる輪状滑車の損傷について
Q、なぜクライマーは輪状滑車にストレスがかかりパキるのか?!
A、弓弦力(ゆずるりょく)
外在屈筋(主に浅指屈筋、深指屈筋)の強い収縮力は腱を関節の回転軸から引き離す、腱を浮き上がるようなベクトルの力が加わる腱の弓弦、bowstringingと呼ばれ現象が生じる。
筋骨格系キネシオロジー原著第3版より
屈筋の輪状滑車(A1~A5)は腱の浮き上がりを防ぐという特に重要な役割をもつため、カチ持ちや握り込むホールディングで負荷がかかり、(クライマーは特にA2に負担がかかると言われている)微細な損傷の繰り返しによる炎症、または急激な力による部分的な断裂、完全断裂を起こす
gikusa.blogspot.comより転載
【パキリ予備軍】
第2関節の下の骨(基節骨)の腹側を押さえて痛みがある方、ホールドが当たると痛い方は、A2の慢性的な炎症が考えられますので、要注意です。
そのまま続けているとバネ指になったり、パキる可能性が考えられますので、早めにご相談ください。
◇パキってしまった方の症状:パキっと聞こえた(POP音)、痛みで曲げれないが一応指は曲がる、じっとしてても痛い、患部が熱っぽい、患部を押さえると強い痛みがある。
◇登りでの対処方法:カチ持ちや握り込むホールディングはA2に負担がかかるので、比較的A2に負担がかかりにくいオープンで持つ。
第2関節(PIP)を曲げて登ることで、A2への負担(結弦力)が増加するため、できる限り第2関節は伸ばし、引っ掛けてホールドをもつオープンの練習をオススメします。
A2の負担を少しでも減らすという意味で、ホワイトテープを第2関節の下(A2)に巻き腱の浮き上がるのを押さえる。
◇日頃のセルフケア:前腕の筋肉、手や指の筋を緩める
◇パキってしまった後の対処:まず即登りを中断する。炎症を抑えるためにアイシングをする。
その後自分で判断しずに、専門家に診てもらう。
痛みが少し引いたからといってすぐに登らない。
痛みを我慢して今まで通り登っていると、痛みは引きません。
故障をした時は、自分の登りや動作、可動域、体のケアについて見直すいい機会だと思います。
パキる方は、指や前腕の筋緊張はもちろんですが、首や肩、肩甲帯、体幹の筋緊張、筋疲労が高い方が多いです。指から背中や胸など筋膜はつなっがています。
日頃から体のメンテナンスや疲労が溜まった際のリカバリーをしっかり行いましょう!!
リカバリーする事で、怪我の予防、さらにはパフォーマンスもアップにも繋がります。